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冷戦構造の崩壊、バブルの破綻につづいて、経済の停滞と不景気が進行するなかで、医療費にも一定の制約が、加わる傾向にあります。主として税金から支出される医療費は微増から横這いに、そして今後は滅少する恐れすら考えられます。しかるに医師数は年々増加し、2020年には25万人が過剰になると予測されています。
ちなみに、日本泌尿器科学会会員数の推移をみますと、昭和50(1975)年、昭和60(1985)年、平成7(1995)年にはそれぞれ2383名、4106名、6114名と10年毎にほほ50%ずつ増加しています。すなわち会員は年々増加するのに医療費はよくて横ばいということになるとパイは年々減少するということになります。こういった現況をわかっていながら放置しておいてよいのでしょうか。
ご承知のように公務員を除く医師の収入の大部分は保険医療費に依存しています。その保険医療費(点数の細目)は2年毎に中医協への諮問を経て厚生省(保険局医療課)によって決定されています。臨床各科は学会とは別に、実地医家を主体とする全国組織を持ち、臨床医会等と称し学会と共同して関係方面に働きかけ、自科に有利な条件を獲得すべく運動を行っています。たとえば、日本眼科医会は、40年の歴史、1万人の会員をもち、日本臨床整形外科医会も20年の歴史と4,000人の会員を有しそれぞれその科の保険医療に絶大な影響力を行使しております。
泌尿器科も学会だけでなく、実地臨床医家を主体とした臨床医会を組織して、他科に遅れをとらない活動を行いたいと考えるに至りました。日本泌尿器科学会からは、先端医療に関する啓蒙と保険要求を行い、臨床医会からは日常診療に関する要求や、実地臨床医家レベルの保険要求を出し、共同で強力かつ、しかも不断の運動を続けるべきでしょう。
急速に進むわが国の老齢化社会において、泌尿器科疾患をもつ老人によりよい医療を提供し、そのQOLを向上させるのも、これはすべての年齢層の泌尿器科医の義務であります。そして地域特性に応じた形できめ細かく泌尿器科医療サービスを積極的に提供できなければならない。そのためには地域に根付いた臨床医会組織が不可欠であります。
以上を要約すると、われわれ泌尿器科医はわが国医療システムの特性に鑑み
(1)医療費配分システムに参加の必要がある。
(2)世界を視点におき、泌尿器科学のいくつかの分野でリーダーたりうる人材が育つような環境の形成につとめたい。
(3)わが国の老齢化社会に専門的立場から貢献の必要がある。
(4)そのため、直接国民(市民)に接する泌尿器科臨床医の立場を擁護し、事業の発展に援助協力し、地位の向上、
経済基盤の強化に努めたい。
(5)会結成後の姿は日本泌尿器科学会とは別組織でありながら、あたかも車の両輪のごとく、あるいは唇歯補完の
形であらねばなるまい。
以上の理由によりわれわれは広く同志を募り、日本臨床泌尿器科医会を設立し、所期の成果を得んとするものであります。全国の大学、研究機関の先生方、勤務医の先生方、開業の先生方、そして我々の運動に理解とご賛同くださる方がたに是非ご入会いただき、われわれと一緒に運動に参加して下さいますようお願い申し上げる次第であります。
平成9(1997)年1月吉日 |
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