泌尿器科の病気について
泌尿器科の病気について
泌尿器腫瘍
泌尿器腫瘍について
腎臓、腎う、尿管、膀胱、尿道の「尿路」と精巣、前立腺などの「男性生殖器」に発生した腫瘍をまとめて「泌尿器腫瘍」と呼びます。
腎がん
腎臓に発生するがんは大きくなって血尿、
治療の主体は、腎臓を摘出したり、腫瘍だけを切除する(
摘除が困難な場合や手術後に再発した場合には、
参考サイト:国立がん研究センターがん情報サービス 腎がん(腎細胞がん)
尿路上皮がん
腎盂(じんう)、尿管、膀胱は尿路と呼ばれ、
特徴的な症状として痛みがなく目で見て赤い尿(
尿路上皮がんは筋層非浸潤性がんと筋層浸潤性がんに分かれます。
上部尿路がん(腎盂・尿管がん)
表在性の膀胱がんは内視鏡にて切除可能ですが、
尿路上皮がんの転移や再発に対しては、
参考サイト:国立がん研究センターがん情報サービス 腎盂・尿管がん 膀胱がん
前立腺がん
前立腺は男性の精液の一部をつくる臓器であり、
前立腺がんの初期にはほとんど症状がありません。
前立腺がんの診断は、
前立腺生検はおしりから超音波で位置を確認しながら、
前立腺がんの治療はがんの広がり(転移の有無など)
前立腺がんの治療法は多岐にわたり、
参考サイト:国立がん研究センターがん情報サービス 前立腺がんについて
精巣腫瘍
ここでは精巣腫瘍のなかで精巣胚細胞腫について述べます。
精巣胚細胞腫は青壮年層(20~40歳代)
若い方に発生するため、非常に注意が必要で、
精巣胚細胞腫の治療は、鼠頸部(足の付け根)
若いご年齢で発症する悪性腫瘍でもあり、手術などを行った後の経過観察が極めて重要です。
なお、精巣胚細胞腫の治療を受ける場合に、
参考サイト:公益財団法人医療機能評価機構Mindsガイドラインライブラリ 精巣腫瘍診療ガイドライン2015年度版
尿路性器感染症・性感染症
尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)または男性性器に起こった感染症を尿路性器感染症と言います。原因としては細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体の侵入によって起こります。その中で最も多いのは、細菌で、特に腸管内に常在している細菌の感染によるものです。
性感染症である尿道炎は、淋菌やクラミジアなどが原因になります。性感染症の中でも、特に近年、梅毒が全国的に増加傾向にあり、注意が必要です。
尿路感染症
尿路感染症では、細菌は尿の出口(外尿道口)から侵入し、尿路を上って行き、膀胱や腎臓に感染症を起こします。尿路感染症は最も頻度の高い感染症の一つです。性的活動期である20~40歳代の女性に多い病気です。しかし、お年寄りになると、感染症を起こしやすくなる病気を持っている方が増加しますので、男女を問わず、尿路感染症を起こす人が増加します。この場合、感染症を起こしやすくなる病気を治さないと尿路感染症を繰り返したり、治らないことが多く、泌尿器科での精密検査や適切な治療が必要となります。
急性膀胱炎
通常女性に発症します。膀胱内で細菌が繁殖し、炎症を生じている状態です。女性の尿道の長さは4㎝程度と非常に短く、外部から細菌が侵入しやすいためです。
原因として、過度の排尿の我慢、外陰部への刺激(性交渉やシャワートイレの使用)などがあげられますが、そうでなくても、ちょっとしたことで感染を生じてしまいます。
症状は、トイレに行きたい感じが強く抑えられない(尿意切迫感)、トイレの回数が増える(頻尿)、尿をする時に下腹部や尿道が痛む(排尿時痛)、尿をした後でも残っている感じがする(残尿感)、目で見てみ分かる程度の赤い尿が出る(血尿)または尿がにごっている(尿混濁)といったものになります。膀胱炎だけの場合は、発熱しません。しかし、膀胱炎の原因となった菌が、腎臓などに広がると、非常に高い熱がでることがありますので、はやめに受診をお勧めします。
病院を受診された場合は、尿中の白血球の有無を調べる尿検査や、尿中の細菌の検査が行われます。
特に基礎疾患がない場合は、3-7日程度の抗菌薬の内服治療で治癒します。抗菌薬の種類は状況にあわせて選択されます。市販の膀胱炎の薬については、症状の緩和が得られる場合がありますが、細菌を取り除く作用はないため、積極的にはお勧めできません。
日常生活の注意として、尿を我慢しすぎない、水分はある程度しっかり摂取する、シャワートイレについては使用を控えることも考慮する、お風呂での清浄も含めて外陰部への過度の刺激は避けるなどがあります。
人によって、上記の治療で治らないこともあります。また短期間で繰り返す場合もあります。その場合は、膀胱内に結石や異物、腫瘍があるために膀胱炎と勘違いをすることや、別の病気の影響で膀胱炎の治癒が妨げられている場合がありますので、超音波やCTといった追加検査を行わなくてはいけない場合があります。繰り返すからといって、単純に抗菌薬を何度も、または長い期間内服することはお勧めできません。炎症を起こした状態です。トイレに行きたい感じが強く抑えられない(尿意切迫感)、トイレの回数が増える(頻尿)、尿をする時に下腹部や尿道が痛む(排尿時痛)、尿をした後でも残っている感じがする(残尿感)、目で見てみ分かる程度の赤い尿が出る(血尿)または尿がにごっている(尿混濁)といった症状を認めます。
尿検査で白血球の数を確認したり、菌がいるのか、どのような菌がいるのかなどの検査を行います。基礎疾患のない場合は、短期間(3日~7日)の抗菌薬内服で治癒することがほとんどです。治りが悪い場合や短期間に何回も繰り返す場合には、膀胱内に結石や異物、腫瘍、多量の残尿がある場合がありますので、泌尿器科での検査が必要です。
高い熱が出る、腰背部痛がある、悪寒がするといった症状が見られる場合は、より重篤な「腎盂腎炎」を起こしている可能性があるので、泌尿器科での精密検査や治療が必要です。
参考サイト:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―
急性腎盂腎炎
腎盂というのは腎臓の中にある構造の一部で、
検査
尿検査では尿に細菌がいないかを調べます。
治療
腎盂腎炎は細菌感染が原因であるため、
参考サイト:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―
男性性器感染症
男性の性器には、前立腺、精巣(睾丸)、精巣上体(副睾丸)、陰茎などがあり、これらの臓器にも感染症が起こります。
急性細菌性前立腺炎と慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群
急性細菌性前立腺炎は、男性に生じます。自覚症状として悪寒戦慄を伴う38℃以上の発熱や全身倦怠感などの全身症状と、排尿痛、頻尿、尿意切迫感、排尿困難、などを伴います。
尿検査にて、細菌尿や尿中白血球の増加を認めます。血液検査においても、高度の炎症反応(血中白血球の増加、CRPの増加)の亢進を認めます。発症から時間がたってから受診された場合は、入院による治療が必要となることもあります。またきわめて重篤化し、生命にかかわる状態となることもあります。
前立腺が炎症により腫脹することで、排尿障害が悪化し、膀胱に管を留置しなければいけない場合もあります。状況によっては、膀胱瘻の設置を選択することもあります。
積極的に予防する手段はありません。症状が発現した場合は、あまり我慢せずにはやめに医療機関を受診してください。
十分な治療が行われない場合や、基礎疾患などの影響で治療が十分行えない場合などは、慢性細菌性前立腺炎に移行することもあります。
慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群は、会陰部(陰嚢と肛門の間)の違和感・鈍痛、排尿痛、残尿感、尿道の違和感、下腹部の違和感などが症状としてありますが、いろいろと検査をおこなっても、はっきりとした異常が見つからないことが多い病態です。原因ははっきりとはしていませんが、以前炎症をおこした影響や、排尿に関連した神経の異常、精神的なストレスなどが原因といわれています。投薬はいろいろと試されていますが、効果を保証する薬剤はありません。ご自身で、生活習慣の改善、定期的な運動を行うことなども症状の緩和に有効といわれています。
参考サイト:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―
急性精巣上体炎
急性精巣上体炎では、精巣に付着した形である精巣上体に急性に生じる炎症から痛みと腫れを認めます。膀胱や尿道、または前立腺の感染が、射精管から精管を通って精巣上体に到達して発症します。
小さな子供さんの場合は、尿路感染症、下部尿路の奇形、場合によっては包茎と関連することがあります。
中高年では、前立腺肥大症、尿路感染、尿道カテーテル留置や尿道操作が一般的な原因となります。
性交渉と関連して発症する場合もあり、その場合は性行為感染症として治療する必要があります。性交渉が活発な若年者では注意が必要です。
原因菌によって適切な抗菌薬を投与します。通常1週間から2週間の治療が必要になります。感染が軽快しても、局部の違和感はかなり長い間のこることがあります。非常に重症となると、精巣まで炎症が波及し、さらには膿瘍を形成して手術が必要となる場合もあります。
なお、精巣癌と区別がつきにくい場合もあり、注意が必要です。
参考サイト:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―
亀頭包皮炎
包茎の場合、亀頭と包皮の間に恥垢がたまり、細菌感染を生じることがあります。これを亀頭包皮炎といいます。抗菌薬の投与で様子を見ることもありますが、包皮を一時的に脱転し、恥垢を取り除いたほうが治癒が早い場合もあります。小児の場合は、包皮にステロイド軟こうを塗布することで、包茎が自然に解除されます。ただし、ご家族のかたが小児の包皮を強制的に反転させて亀頭を露出させるようにすることはお勧めしません。主治医とよく相談されてください。成人、とくに高齢者の場合は、繰り返す炎症で包皮の先端が癒着し、尿閉となってしまうこともあります。ご年齢が高い方でも、亀頭包皮炎を繰り返す場合は、包皮を切除する手術を考慮してもいいと思います。
性感染症
性行為でうつる病気で、以前は性病と呼ばれていました。泌尿器科では、主に性器クラミジア感染症、淋菌感染症、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、梅毒という病気を診療します。
性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症 男性は軽度の尿道の違和感や、尿道から少量のうすい膿が排出されるのが特徴です。性交渉から1週間から10日してから症状が出ます。 女性の場合は無症状のことも多いですが、骨盤内に感染が波及することもあり、その場合は重篤な炎症を骨盤内に生じ、強力な治療が必要な場合もあります。炎症のために卵管閉塞などを生じ、不妊の原因ともなります。 症状が軽い場合は一般的には内服薬での治療となります。内服が一回だけで済む抗菌薬で治療されることが多いです。必ずパートナーも治療を受けてください。治癒したことを確認しないで性交渉を再開すると、再感染する可能性や感染を広げることがあります。なお、口腔内にも感染していることが多く、口から口への感染も起こります。
参考サイト:国立感染症研究所 性器クラミジア感染症とは
淋菌感染症
男性の場合は、
参考サイト:国立感染症研究所 淋菌感染症とは
尖圭コンジローマ
パピローマウイルスの感染に伴い、
参考サイト:国立感染症研究所 尖圭コンジローマとは
性器ヘルペス感染症
近年、単純ヘルペスウイルス感染により、
参考サイト:国立感染症研究所 性器ヘルペス感染症とは
梅毒
近年、梅毒が全国的に増加傾向にあり、注意が必要です。
梅毒トレポネーマという細菌で起こる病気で、
感染から約3週間で性器や陰部に硬いしこりができた後、痛みのない潰瘍ができます(第1期梅毒)。
これらの症状は放っておくと、自然に消えてしまうことがありますが、治ったわけではありません。治療をしないで3か月以上経過すると、手のひら、足の裏、体全体にピンク色のバラ疹とよばれる発疹が出ることがあります(第2期梅毒)。
さらに治療をしないで数年が経過すると、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)ができることがあります(第3期梅毒)。
さらに、心臓や血管、脳などの臓器に病変が生じ、場合によっては死に至ることもあります。
梅毒を診断するには、血液検査を行います(梅毒血清反応検査と呼ばれます)。
参考サイト:厚生労働省 梅毒情報サイト
そのほかの症状
尿路結石症
尿の成分が固まって石のようになったものを尿路結石と言います。
下部尿路結石症の原因としては、
上部尿路結石症の腎結石の場合、背中の鈍痛や血尿(
下部尿路結石症においては、膀胱結石では慢性的な下腹部の鈍痛、
尿路結石の確実な診断をつけるのであればCT検査を行う必要があ
結石と診断された場合は、
結石が嵌頓し自然排石が困難と判断される場合や激しい痛みが続く
外科的治療の種類には下記のようなものがあります。
体外衝撃波結石破砕術(ESWL):
経尿道的尿管結石砕石術(TUL):
経皮的腎砕石術(PNL):腎臓に直接背中から管を通し、
経皮経尿道的結石砕石術( ECIRS (Endoscopic. Combined Intra renal Surgery)):
開腹手術:
参考サイト:公益財団法人医療評価機構 Minds ガイドラインライブラリ 尿路結石症診療ガイドライン 2013年版
尿失禁
尿がもれてしまうことを尿失禁と言います。
切迫性尿失禁:我慢できないような強い尿意があり、
腹圧性尿失禁:咳払い、
溢流(いつりゅう)性尿失禁:排尿しにくい一方で常に尿がもれてしまう状態です。
機能性尿失禁:移動に時間がかかる、
どのような時に尿がもれるのか、
以下のように尿失禁の種類によって治療法が異なります。
切迫性尿失禁:生活指導を優先し、そのうえで飲み薬(β3アドレナリン受容体作動薬、抗コリン薬)でコントロールします。
腹圧性尿失禁:骨盤底の筋肉を鍛える運動の指導や投薬を行いますが、
溢流性尿失禁:尿は漏れていますが、全く尿が出ていない状況(尿閉)
機能性尿失禁:排尿をスムーズに行えるような環境整備をすすめます。
一般的な日常生活においては、骨盤底筋運動に限らず運動励行が重要となります。
過活動膀胱
急にトイレに行きたくなり我慢が難しい(尿意切迫感)、
健康な人は我慢をすれば400~
過活動膀胱の検査は、まず症状の問診が中心です。
また、どのような排尿状態であるかを確認するため、排尿の記録(
治療では、まず生活指導を行います。カフェイン摂取、
間質性膀胱炎
間質性膀胱炎・膀胱痛症候群とは、膀胱に関連するような慢性の骨盤部の痛みや,圧迫感・不快感があって,非常に治りにくい尿意切迫感、頻尿、残尿感などの下部尿路症状を伴うものです。症状がかなり強い場合には、日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。
間質性膀胱炎と診断されたもののうち、膀胱粘膜に出血しやすい潰瘍のような病変(ハンナ病変)のあるものがハンナ型間質性膀胱炎で、難病指定されています。
はっきりとした原因は分かっていませんが、ハンナ型間質性膀胱炎では、免疫学的な炎症反応が関連しているのではないかと言われています。
治療は、生活習慣の改善やストレスの緩和などの保存的治療に加え、症状に応じて抗うつ薬や鎮痛剤、抗アレルギー薬などの内服治療が始められます。 内服薬による治療が充分でない場合などは、膀胱水圧拡張術に加えて内視鏡下でのハンナ病変(出血している膀胱粘膜)の焼灼を行います。DMSOの膀胱内注入治療も効果が期待できますが、そのほかにボツリヌス毒素の膀胱壁内注入、電気刺激療法、磁気刺激療法、鍼灸なども組み合わせながら治療を進めていきます。
参考サイト:日本間質性膀胱炎研究会 間質性膀胱炎について 難病情報センター
前立腺肥大症
前立腺は男性の膀胱の下に存在し大きさはくるみ大の臓器で精液の
60歳以上の男性の60%に前立腺肥大症は存在し40%
<診断に必要な検査>
問診:
PSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)採血:
超音波検査(エコー):
直腸診(前立腺触診):肛門より指を挿入し前立腺を触診します。
尿流量測定:
治療には薬物療法または外科的療法があります。
【薬物療法】
α-1受容体遮断薬:排尿時は膀胱頸部の開大を助け、
PDE-5阻害薬(タダラフィル):
5α還元酵素阻害剤(デュタステリド):前立腺を縮小させ、
【外科的治療】
薬物療法で改善が得られない場合、尿閉状態、
代表的な治療法として下記治療法が挙げられます。
経尿道的前立腺切除術(TUR-P):最も一般的な術式です。
内視鏡下前立腺核出術:内視鏡を尿道より挿入し、肥大した内腺(
前立腺レーザー蒸散術:
その他の前立腺肥大症の外科的治療:高齢のかた、
勃起障害(ED)
勃起障害・勃起不全(ED: Erectile Dysfunction)とは、
EDの危険因子で排除可能なものがあれば排除し(例:禁煙など)
参考サイト: 一般社団法人日本性機能学会 ED診療ガイドライン
LOH症候群
LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症)ですが、40歳過ぎてからの男性ホルモン低下にともない意欲の低下、筋力低下、体脂肪の増加、骨密度の低下、疲労感などを生じる状態をいいます。男性更年期障害ともいわれます。症状をもとに血中男性ホルモン値を測定することで診断されます。糖尿病などの生活習慣病やうつ病などとの区別が難しいこともありますので、担当医とよく相談してください。治療は、生活習慣の改善を主体とした生活指導に加え、男性ホルモンの投与が行われることがあります。
参考サイト 日本内分泌学会 男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)
陰嚢水腫
精巣のまわりの精巣固有漿膜と呼ばれる袋状の部分に水(体液)