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泌尿器科の病気について

泌尿器科の病気について

泌尿器腫瘍

・腎がん
・尿路上皮がん
・前立腺がん
・精巣腫瘍(胚細胞腫)

尿路感染症

・急性膀胱炎
・急性腎盂腎炎

男性性器感染症

・前立腺炎(急性と慢性)
・精巣上体(副睾丸)炎
・亀頭包皮炎

性感染症

・性器クラミジア感染症
・淋菌感染症
・尖圭コンジローマ
・性器ヘルペス ・梅毒

そのほかの症状

・尿路結石症
・尿失禁
・過活動膀胱
・間質性膀胱炎
・前立腺肥大症
・勃起障害(ED)
・LOH症候群
・陰嚢水腫

泌尿器腫瘍

泌尿器腫瘍について
腎臓、腎う、尿管、膀胱、尿道の「尿路」と精巣、前立腺などの「男性生殖器」に発生した腫瘍をまとめて「泌尿器腫瘍」と呼びます。

腎がん

腎臓に発生するがんは大きくなって血尿、お腹の痛みや腫れで見つかることもありますが、最近では人間ドックやがん検診などで行われる超音波検査や他の病気で行われたCTなどで偶然発見される患者さんが増えてきています。そのような場合、見つかる腫瘍は小さく、症状もほとんどないことが多いようです。

治療の主体は、腎臓を摘出したり、腫瘍だけを切除する(腎部分切除)といった外科的治療となります。ロボットをもちいた手術も進んでいます。患者さんのお体の状態によっては、腫瘍だけを焼灼するような治療も選択されます。転移がある場合でも、切除や焼灼などが可能な場合がありますので、担当医とよく相談をしてください。

摘除が困難な場合や手術後に再発した場合には、薬物治療も行われています。最近は使用できる薬剤がたくさん承認されており、組み合わせて使用されます。

参考サイト:国立がん研究センターがん情報サービス 腎がん(腎細胞がん)

尿路上皮がん

腎盂(じんう)、尿管、膀胱は尿路と呼ばれ、内腔は尿路上皮という粘膜で覆われています。この尿路上皮細胞に発生したがんを尿路上皮がんと呼び、その発生部位により腎盂がん、尿管がん、膀胱がんと表現します。

特徴的な症状として痛みがなく目で見て赤い尿(無症候性肉眼的血尿)がありますが、膀胱炎の併発や結石があると頻尿や痛みなどの症状をともなうこともあります。

尿路上皮がんは筋層非浸潤性がんと筋層浸潤性がんに分かれます。筋層非浸潤性がんは尿路の内腔に乳頭状に突出していることが多く、根は浅く筋肉の層までは達していません。一方、浸潤性がんは根が広く(広基性)そして深く筋層以上に達しており、転移をともなっていることもあります。

上部尿路がん(腎盂・尿管がん)に対する治療は原則的に腫瘍のある腎臓および尿管を摘除(腎尿管全摘除)することとなります。ただし、腫瘍が表在性で小さく限局している場合や腎臓が片方しかない症例では、レーザーなどを利用した内視鏡手術も行われています。

表在性の膀胱がんは内視鏡にて切除可能ですが、完全に切除したとしても約40%の患者さんで腫瘍の再発がみられます。手術後に再発予防のために抗がん剤やBCGなどを膀胱内に注入することもあります。浸潤した膀胱がんにおいては膀胱をすべて取ることを考えなくてはいけません。最近はロボットによる手術も進んでいます。

尿路上皮がんの転移や再発に対しては、抗がん剤の投与が選択される場合もあります。昨今、抗がん剤の進歩は大変早いため、主治医とよくご相談ください。

参考サイト:国立がん研究センターがん情報サービス 腎盂・尿管がん 膀胱がん 

前立腺がん

前立腺は男性の精液の一部をつくる臓器であり、正常成人では栗の実ぐらいの大きさで、尿がたまる膀胱の出口のすぐ先にあり、尿道を取り囲むように存在します。前立腺がんはこの前立腺から発生するがんで、50歳以降に多く発見されます。

前立腺がんの初期にはほとんど症状がありません。最初に自覚する症状は、尿の勢いが弱い、排尿後に尿が残った感じがする、夜間にトイレに起きるなど排尿に関係する症状が多いのですが、これも良性の病気である前立腺肥大症を合併しているために生じていることが多いようです。さらに進行すれば、血尿や骨への転移に伴う頑固な腰痛などがでてくることがあります

前立腺がんの診断は、肛門から指を入れて前立腺をさわって調べる直腸診、血液検査による前立腺特異抗原(PSA)測定、前立腺超音波検査、MRI検査が行われ、がんの疑いがあれば前立腺生検を行います。特にPSA検査は、症状の全くない早期の前立腺がんのスクリーニングとして有用で、採血だけですので患者さんの負担も少なくてすみます。

前立腺生検はおしりから超音波で位置を確認しながら、直腸または会陰(陰嚢と肛門のあいだのまたの部分)から細い針で前立腺の組織を少し取る検査です。

前立腺がんの治療はがんの広がり(転移の有無など)や悪性度でも変わってきますが、限局性前立腺がんに対する根治療法として手術で前立腺を摘出する根治的前立腺摘除術や放射線治療があります。最近では、腹腔鏡下手術やロボット支援手術で行う低侵襲手術、放射線が密封されたカプセルを前立腺に埋め込む小線源療法や腫瘍の形に適した放射線治療を行う強度変調放射線治療(IMRT)、重粒子線や陽子線を使った粒子線治療など、新しい治療法が行われるようになっています。局所浸潤性前立腺がんや転移を有する前立腺がんに対しては、内分泌(ホルモン)治療を中心に放射線療法、抗がん剤なども併用していきます。ただし、極早期の前立腺癌は進行がゆっくりとしていることが通常で、治療をおこなわず経過を監視しながら必要な治療の開始時期を見定めることも可能です。

前立腺がんの治療法は多岐にわたり、いずれの場合も病状を十分ご説明し、患者さんの希望、年齢や社会生活の程度なども考慮して治療を選択します。前立腺がんの早期発見を考える場合は、50歳を過ぎたら一度PSA検査をお受けになることをお勧めします。

参考サイト:国立がん研究センターがん情報サービス 前立腺がんについて

精巣腫瘍

ここでは精巣腫瘍のなかで精巣胚細胞腫について述べます。

精巣胚細胞腫は青壮年層(20~40歳代)に好発するがんであり、陰嚢内容つまり精巣が痛みもなく硬く腫れてくるのが典型的な症状です。精巣胚細胞腫の診断は触診や超音波検査にて行い、血液検査にて腫瘍マーカー(hCG、AFPなど)を測定します。

若い方に発生するため、非常に注意が必要で、転移を伴っていることが少なくありません。また進行が早いという特徴があるため、治療をできる限り迅速におこなうことがとても重要です。

精巣胚細胞腫の治療は、鼠頸部(足の付け根)の皮膚から切開をおこなって、患側の精巣を摘除します(高位除睾術)。転移の有無は、CTなどの画像検査にて詳しく調べます。精巣胚細胞腫は、大まかにセミノーマと非セミノーマ というように分類されます。それぞれに対してすこし治療法が異なりますが、基本的には抗がん剤が極めて有効ながんであり、転移を有する進行がんでも根治が期待できます。また放射線治療も組み合わせて行われることもあります。

若いご年齢で発症する悪性腫瘍でもあり、手術などを行った後の経過観察が極めて重要です。再発を早期に見つけることができれば、十分治療が可能です。医療機関への受診に関しては、主治医の判断にかならず従うようにしてください。

なお、精巣胚細胞腫の治療を受ける場合に、今後挙児を希望される際は、精子凍結保存を考えたほうがいい場合があります。こちらも主治医とご相談ください。

参考サイト:公益財団法人医療機能評価機構Mindsガイドラインライブラリ 精巣腫瘍診療ガイドライン2015年度版

尿路性器感染症・性感染症

尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)または男性性器に起こった感染症を尿路性器感染症と言います。原因としては細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体の侵入によって起こります。その中で最も多いのは、細菌で、特に腸管内に常在している細菌の感染によるものです。

性感染症である尿道炎は、淋菌やクラミジアなどが原因になります。性感染症の中でも、特に近年、梅毒が全国的に増加傾向にあり、注意が必要です。

尿路感染症
尿路感染症では、細菌は尿の出口(外尿道口)から侵入し、尿路を上って行き、膀胱や腎臓に感染症を起こします。尿路感染症は最も頻度の高い感染症の一つです。性的活動期である20~40歳代の女性に多い病気です。しかし、お年寄りになると、感染症を起こしやすくなる病気を持っている方が増加しますので、男女を問わず、尿路感染症を起こす人が増加します。この場合、感染症を起こしやすくなる病気を治さないと尿路感染症を繰り返したり、治らないことが多く、泌尿器科での精密検査や適切な治療が必要となります。

急性膀胱炎

通常女性に発症します。膀胱内で細菌が繁殖し、炎症を生じている状態です。女性の尿道の長さは4㎝程度と非常に短く、外部から細菌が侵入しやすいためです。

原因として、過度の排尿の我慢、外陰部への刺激(性交渉やシャワートイレの使用)などがあげられますが、そうでなくても、ちょっとしたことで感染を生じてしまいます。

症状は、トイレに行きたい感じが強く抑えられない(尿意切迫感)、トイレの回数が増える(頻尿)、尿をする時に下腹部や尿道が痛む(排尿時痛)、尿をした後でも残っている感じがする(残尿感)、目で見てみ分かる程度の赤い尿が出る(血尿)または尿がにごっている(尿混濁)といったものになります。膀胱炎だけの場合は、発熱しません。しかし、膀胱炎の原因となった菌が、腎臓などに広がると、非常に高い熱がでることがありますので、はやめに受診をお勧めします。

病院を受診された場合は、尿中の白血球の有無を調べる尿検査や、尿中の細菌の検査が行われます。

特に基礎疾患がない場合は、3-7日程度の抗菌薬の内服治療で治癒します。抗菌薬の種類は状況にあわせて選択されます。市販の膀胱炎の薬については、症状の緩和が得られる場合がありますが、細菌を取り除く作用はないため、積極的にはお勧めできません。

日常生活の注意として、尿を我慢しすぎない、水分はある程度しっかり摂取する、シャワートイレについては使用を控えることも考慮する、お風呂での清浄も含めて外陰部への過度の刺激は避けるなどがあります。

人によって、上記の治療で治らないこともあります。また短期間で繰り返す場合もあります。その場合は、膀胱内に結石や異物、腫瘍があるために膀胱炎と勘違いをすることや、別の病気の影響で膀胱炎の治癒が妨げられている場合がありますので、超音波やCTといった追加検査を行わなくてはいけない場合があります。繰り返すからといって、単純に抗菌薬を何度も、または長い期間内服することはお勧めできません。炎症を起こした状態です。トイレに行きたい感じが強く抑えられない(尿意切迫感)、トイレの回数が増える(頻尿)、尿をする時に下腹部や尿道が痛む(排尿時痛)、尿をした後でも残っている感じがする(残尿感)、目で見てみ分かる程度の赤い尿が出る(血尿)または尿がにごっている(尿混濁)といった症状を認めます。

尿検査で白血球の数を確認したり、菌がいるのか、どのような菌がいるのかなどの検査を行います。基礎疾患のない場合は、短期間(3日~7日)の抗菌薬内服で治癒することがほとんどです。治りが悪い場合や短期間に何回も繰り返す場合には、膀胱内に結石や異物、腫瘍、多量の残尿がある場合がありますので、泌尿器科での検査が必要です。

高い熱が出る、腰背部痛がある、悪寒がするといった症状が見られる場合は、より重篤な「腎盂腎炎」を起こしている可能性があるので、泌尿器科での精密検査や治療が必要です。


参考サイト:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―

急性腎盂腎炎

腎盂というのは腎臓の中にある構造の一部で、腎臓で作られた尿が溜まる漏斗状の空間です。このあと尿は腎盂から尿管、膀胱、尿道を通って体外へ排泄されます。その腎盂で細菌が繁殖し炎症を起こすことを腎盂腎炎と言います。細菌は尿道から膀胱に入り、尿管をさかのぼって腎盂に達します。ですから一般的には膀胱炎から腎盂腎炎に進行します。症状としては先行する膀胱炎症状(排尿時痛、頻尿、残尿感等)ののち、高熱と腰背部痛、全身倦怠感等が出現します。(先行する膀胱炎症状は気が付かないこともあります。)

 検査

 尿検査では尿に細菌がいないかを調べます。さらに病原菌の種類を調べるために細菌培養検査を行います。血液検査では炎症の程度を確認します。場合によっては超音波検査やCT検査で、原因となる水腎症(腎盂が腫れた状態)や尿路結石が無いかを調べます。

 治療

 腎盂腎炎は細菌感染が原因であるため、抗菌薬による薬物治療が中心となります。適切な飲み薬の抗菌薬で改善することが多いですが、重症化した場合や体力低下が強い場合、尿路結石などの原因疾患がある場合は、入院して点滴治療となることもあります。


参考サイト:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―

男性性器感染症

男性の性器には、前立腺、精巣(睾丸)、精巣上体(副睾丸)、陰茎などがあり、これらの臓器にも感染症が起こります。

急性細菌性前立腺炎と慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群

急性細菌性前立腺炎は、男性に生じます。自覚症状として悪寒戦慄を伴う38℃以上の発熱や全身倦怠感などの全身症状と、排尿痛、頻尿、尿意切迫感、排尿困難、などを伴います。

尿検査にて、細菌尿や尿中白血球の増加を認めます。血液検査においても、高度の炎症反応(血中白血球の増加、CRPの増加)の亢進を認めます。発症から時間がたってから受診された場合は、入院による治療が必要となることもあります。またきわめて重篤化し、生命にかかわる状態となることもあります。

前立腺が炎症により腫脹することで、排尿障害が悪化し、膀胱に管を留置しなければいけない場合もあります。状況によっては、膀胱瘻の設置を選択することもあります。

積極的に予防する手段はありません。症状が発現した場合は、あまり我慢せずにはやめに医療機関を受診してください。

十分な治療が行われない場合や、基礎疾患などの影響で治療が十分行えない場合などは、慢性細菌性前立腺炎に移行することもあります。

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群は、会陰部(陰嚢と肛門の間)の違和感・鈍痛、排尿痛、残尿感、尿道の違和感、下腹部の違和感などが症状としてありますが、いろいろと検査をおこなっても、はっきりとした異常が見つからないことが多い病態です。原因ははっきりとはしていませんが、以前炎症をおこした影響や、排尿に関連した神経の異常、精神的なストレスなどが原因といわれています。投薬はいろいろと試されていますが、効果を保証する薬剤はありません。ご自身で、生活習慣の改善、定期的な運動を行うことなども症状の緩和に有効といわれています。


参考サイト:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―

急性精巣上体炎

 

急性精巣上体炎では、精巣に付着した形である精巣上体に急性に生じる炎症から痛みと腫れを認めます。膀胱や尿道、または前立腺の感染が、射精管から精管を通って精巣上体に到達して発症します。

小さな子供さんの場合は、尿路感染症、下部尿路の奇形、場合によっては包茎と関連することがあります。

中高年では、前立腺肥大症、尿路感染、尿道カテーテル留置や尿道操作が一般的な原因となります。

性交渉と関連して発症する場合もあり、その場合は性行為感染症として治療する必要があります。性交渉が活発な若年者では注意が必要です。

原因菌によって適切な抗菌薬を投与します。通常1週間から2週間の治療が必要になります。感染が軽快しても、局部の違和感はかなり長い間のこることがあります。非常に重症となると、精巣まで炎症が波及し、さらには膿瘍を形成して手術が必要となる場合もあります。

なお、精巣癌と区別がつきにくい場合もあり、注意が必要です。


参考サイト:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―

亀頭包皮炎

包茎の場合、亀頭と包皮の間に恥垢がたまり、細菌感染を生じることがあります。これを亀頭包皮炎といいます。抗菌薬の投与で様子を見ることもありますが、包皮を一時的に脱転し、恥垢を取り除いたほうが治癒が早い場合もあります。小児の場合は、包皮にステロイド軟こうを塗布することで、包茎が自然に解除されます。ただし、ご家族のかたが小児の包皮を強制的に反転させて亀頭を露出させるようにすることはお勧めしません。主治医とよく相談されてください。成人、とくに高齢者の場合は、繰り返す炎症で包皮の先端が癒着し、尿閉となってしまうこともあります。ご年齢が高い方でも、亀頭包皮炎を繰り返す場合は、包皮を切除する手術を考慮してもいいと思います。

性感染症

性行為でうつる病気で、以前は性病と呼ばれていました。泌尿器科では、主に性器クラミジア感染症、淋菌感染症、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、梅毒という病気を診療します。

性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症 男性は軽度の尿道の違和感や、尿道から少量のうすい膿が排出されるのが特徴です。性交渉から1週間から10日してから症状が出ます。 女性の場合は無症状のことも多いですが、骨盤内に感染が波及することもあり、その場合は重篤な炎症を骨盤内に生じ、強力な治療が必要な場合もあります。炎症のために卵管閉塞などを生じ、不妊の原因ともなります。 症状が軽い場合は一般的には内服薬での治療となります。内服が一回だけで済む抗菌薬で治療されることが多いです。必ずパートナーも治療を受けてください。治癒したことを確認しないで性交渉を再開すると、再感染する可能性や感染を広げることがあります。なお、口腔内にも感染していることが多く、口から口への感染も起こります。


参考サイト:国立感染症研究所 性器クラミジア感染症とは

淋菌感染症

男性の場合は、尿道口から黄色の濃い膿が持続的に出るのが特徴です。クラミジア感染を併発していることもよくあります。性交渉のあと、3-4日程度で発症します。女性においても、性器から同様の膿がでることが特徴です。

抗菌薬を点滴で一回投与する治療が一般的です。ただ、淋菌は抗菌薬への耐性を獲得しやすく、抗菌薬の効きにくい俗にいうスーパー淋菌(多剤耐性淋菌)というものが存在します。その場合は治療が長引くこともあります。
繰り返し感染を起こすと尿道狭窄を起こすこともあります。また、口腔内感染もありますので、口から口、性器から口などの感染経路もあります。


参考サイト:国立感染症研究所 淋菌感染症とは

尖圭コンジローマ

パピローマウイルスの感染に伴い、カリフラワーのような出来物が性器に発現します。液体窒素による焼灼や外用薬での治療になります。パピローマウイルスの種類によっては陰茎癌、子宮頸癌などの原因となるものもあります。癌化したものは、大きく切除しなければいけない場合もあります。


参考サイト:国立感染症研究所 尖圭コンジローマとは

性器ヘルペス感染症

近年、単純ヘルペスウイルス感染により、性器やその周辺に水泡や潰瘍などが発生します。非常に強い疼痛を伴うこともあります。抗ヘルペスウイルス剤を内服することで、いったんは治療することができます。しかし、ヘルペスウイルスは一度感染すると、神経節に潜伏し、ときに再活性化し、長年にわたって何回も再発を経験することがあります。妊婦が性器ヘルペスを発症している場合は、新生児にヘルペスウイルスが感染し、重篤な新生児ヘルペスを発症する危険があります。


参考サイト:国立感染症研究所 性器ヘルペス感染症とは

梅毒

近年、梅毒が全国的に増加傾向にあり、注意が必要です。

梅毒トレポネーマという細菌で起こる病気で、

感染から約3週間で性器や陰部に硬いしこりができた後、痛みのない潰瘍ができます(第1期梅毒)

これらの症状は放っておくと、自然に消えてしまうことがありますが、治ったわけではありません。治療をしないで3か月以上経過すると、手のひら、足の裏、体全体にピンク色のバラ疹とよばれる発疹が出ることがあります(第2期梅毒)

さらに治療をしないで数年が経過すると、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)ができることがあります(第3期梅毒)

さらに、心臓や血管、脳などの臓器に病変が生じ、場合によっては死に至ることもあります。

梅毒を診断するには、血液検査を行います(梅毒血清反応検査と呼ばれます)。

参考サイト:厚生労働省 梅毒情報サイト 

そのほかの症状

尿路結石症

尿の成分が固まって石のようになったものを尿路結石と言います。結石の存在する場所によって、上部尿路結石症(腎結石、尿管結石)、下部尿路結石症(膀胱結石、尿道結石)に分けられ、我が国では約95%が上部尿路結石症です。原因については依然不明の点も多いですが、少なくとも生活習慣の乱れは一般的に結石形成を促進するといわれています。また結石が多発する場合は、副甲状腺機能亢進症などの別の疾患が結石形成の原因となっていることもありますので注意が必要です。

下部尿路結石症の原因としては、上部尿路から下降した結石が排石できずに膀胱内で成長したものや寝たきりなどで尿道に留置されたカテーテルが核となって結石が形成されることが多いようです。結石成分も尿路感染に伴う感染結石や尿酸結石が多い傾向にあります。

上部尿路結石症の腎結石の場合、背中の鈍痛や血尿(顕微鏡的血尿)で受診されることが多いようですが、無症状の事もあります。結石が尿管に下降して尿管結石となった場合には、突然の背中や側腹部の激痛や肉眼的血尿などの症状が認められます。結石が膀胱近くまで下降してくると、側腹部痛や下腹部痛と共に尿意切迫感、残尿感(膀胱炎と似た膀胱刺激症状)といった症状を伴う様になります。

下部尿路結石症においては、膀胱結石では慢性的な下腹部の鈍痛、排尿時痛みや頻尿などに加え、肉眼的血尿が主な症状です。時に結石が尿道に嵌頓して尿道結石となる場合もあります。

尿路結石の確実な診断をつけるのであればCT検査を行う必要があります。特に、結石の性状や硬さなど、手術に必要な情報を得るためにはかならず施行されます。外来診察において、尿路結石を疑っている段階では、尿検査で血尿(肉眼的血尿、顕微鏡的血尿)や尿路感染症の有無を調べます。腎臓から膀胱まで含めた腹部単純X線撮影(KUB)を行い、結石の存在部位、大きさなどを確認します。超音波(エコー)検査はレントゲンに映らない結石や腎臓が尿で腫れて水腎症になっていないかなどの状態を見るのに適しています。

結石と診断された場合は、自然に排石を待つ場合と手術で治療する場合があります。10mm未満の結石は自然排石することが多く、一か月程度は自然排石を待って、結石が排尿とともに排出するように水分を多く摂取して頂きます。排石促進剤(尿管の蠕動を促して排石を助ける薬)などを使用することがあります。

結石が嵌頓し自然排石が困難と判断される場合や激しい痛みが続く場合、さらには感染症を併発している場合などには、結石の部位やサイズに関わらず外科的治療が必要になります。また10mm以上の結石は外科的治療の適応とされます。

外科的治療の種類には下記のようなものがあります。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)衝撃波発生装置から発生される衝撃波で体外から結石を破砕し、小さな破砕片として結石の排出を促す治療です。結石の部位によっては破砕が困難であったり、結石の破砕が不十分で自排石しないケースもあります。軽い鎮痛剤を投与する程度で治療が可能で、比較的身体への負担は少ない治療です。

 経尿道的尿管結石砕石術(TUL)尿管鏡という細い内視鏡を尿道から挿入し、尿管内の結石を直接確認して専用の砕石機器を使用して結石を砕いて取り除きます。麻酔下に行う必要があり、短期間の入院が必要となります。 内視鏡や砕石機器の進歩により、幅広く様々な状態の結石の加療が可能となってきています。

経皮的腎砕石術(PNL):腎臓に直接背中から管を通し、専用の内視鏡と砕石装置(レーザーや圧縮空気破石装置など)を用いて砕石します。麻酔下に行うために入院治療が必要となります。腎臓の大きな結石(サンゴ状結石)などで行われることが多く、上記のTULと組み合わせて行うこともあります。 

経皮経尿道的結石砕石術( ECIRS (Endoscopic. Combined Intra renal Surgery))TULを併用してPNLを同時に行う治療法です。TULによる細かな操作とPNLによる結石の除去効率が最大のメリットです。あらゆる位置と大きさの結石に対応できます。近年は治療(結石除去)効率の良さから多くの施設で導入され始めています。

開腹手術約20年以上前では尿路結石に対する外科的治療の一つとして行われていましたが、現在は内視鏡の進歩などによりほとんど行われません。ただし、ごく特殊な状況下では必要となることもあります。腹腔鏡下手術もときに選択されます。

参考サイト:公益財団法人医療評価機構 Minds ガイドラインライブラリ 尿路結石症診療ガイドライン 2013年版

尿失禁

尿がもれてしまうことを尿失禁と言います。尿失禁には以下のような種類があり、それぞれ治療の方法が異なります。

切迫性尿失禁:我慢できないような強い尿意があり、それが我慢できなかった結果漏れてしまう、いわゆるトイレに間に合わない状況です。
腹圧性尿失禁:咳払い、くしゃみの時や重い荷物を持った時などの腹圧がかかったときにもれてしまう状態です。
溢流(いつりゅう)性尿失禁:排尿しにくい一方で常に尿がもれてしまう状態です。腹部の膨満感(膀胱が大きく拡張し、尿閉の状態)を伴うことが多いです。
機能性尿失禁:移動に時間がかかる、認知症があるなどで排尿の準備が間に合わなかった結果もれてしまうことをいいます。

どのような時に尿がもれるのか、いつから症状があるのかなどが重要です。検尿、尿の勢いの検査、超音波検査、内診など必要な検査を行います。形態的な異常や神経の異常などを調べる特殊な検査が必要となることもあります。

以下のように尿失禁の種類によって治療法が異なります。

切迫性尿失禁:生活指導を優先し、そのうえで飲み薬(β3アドレナリン受容体作動薬、抗コリン薬)でコントロールします。内服薬についてはすこし副作用に注意が必要ですので、担当医にお聞きになってください。
腹圧性尿失禁:骨盤底の筋肉を鍛える運動の指導や投薬を行いますが、重症の場合は手術をお勧めする場合もあります。
溢流性尿失禁:尿は漏れていますが、全く尿が出ていない状況(尿閉)と同じであることが普通です。尿閉の解除とともに原因の疾患を治療します。
機能性尿失禁:排尿をスムーズに行えるような環境整備をすすめます。

一般的な日常生活においては、骨盤底筋運動に限らず運動励行が重要となります。カフェインやアルコールなどは症状を悪化しますので中止が望ましいです。便秘の改善も重要な要素と考えてください。

過活動膀胱

急にトイレに行きたくなり我慢が難しい(尿意切迫感)、トイレの回数が多い(頻尿)、急にトイレに行きたくなり我慢できずに漏らす(切迫性尿失禁)が代表的な症状です。ただし、過活動膀胱は症状を示すだけの病名ですので、様々な病気がおおもとにあります。原因となる病気を診断するとともにそれに合わせた治療が必要となります。

健康な人は我慢をすれば400~500mlの尿をためることができますが、過活動膀胱では、それほど尿がたまっていなくても膀胱が収縮し尿意をもよおし我慢できなくなります。原因として脳梗塞などの脳血管疾患、脊髄疾患、末梢神経障害、前立腺肥大症、加齢、骨盤底筋の脆弱化などが考えられています。

過活動膀胱の検査は、まず症状の問診が中心です。代表的な症状である尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁の程度についてお尋ねします。

また、どのような排尿状態であるかを確認するため、排尿の記録(排尿時刻や1回排尿量など)をつけてもらうこともあります。さらに、過活動膀胱と同じような症状を来たすことのある別の病気を見分けるため、尿検査や超音波検査を必要に応じて行います。

治療では、まず生活指導を行います。カフェイン摂取、アルコール摂取、喫煙などはかならず制限することが重要で、運動を心掛け、食事にも気を使うなど、患者さんにもご協力をいただきます。薬物療法は内服薬が中心です。膀胱の神経に働きかけ収縮を抑えるβ3アドレナリン受容体作動薬、抗コリン薬が主な内服薬となります。副作用に注意が必要ですので、担当医によくお聞きになってください。

 

間質性膀胱炎

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群とは、膀胱に関連するような慢性の骨盤部の痛みや,圧迫感・不快感があって,非常に治りにくい尿意切迫感、頻尿、残尿感などの下部尿路症状を伴うものです。症状がかなり強い場合には、日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。

間質性膀胱炎と診断されたもののうち、膀胱粘膜に出血しやすい潰瘍のような病変(ハンナ病変)のあるものがハンナ型間質性膀胱炎で、難病指定されています。

はっきりとした原因は分かっていませんが、ハンナ型間質性膀胱炎では、免疫学的な炎症反応が関連しているのではないかと言われています。  

治療は、生活習慣の改善やストレスの緩和などの保存的治療に加え、症状に応じて抗うつ薬や鎮痛剤、抗アレルギー薬などの内服治療が始められます。 内服薬による治療が充分でない場合などは、膀胱水圧拡張術に加えて内視鏡下でのハンナ病変(出血している膀胱粘膜)の焼灼を行います。DMSOの膀胱内注入治療も効果が期待できますが、そのほかにボツリヌス毒素の膀胱壁内注入、電気刺激療法、磁気刺激療法、鍼灸なども組み合わせながら治療を進めていきます。

参考サイト:日本間質性膀胱炎研究会 間質性膀胱炎について  難病情報センター

 

前立腺肥大症

前立腺は男性の膀胱の下に存在し大きさはくるみ大の臓器で精液の一部を分泌している臓器です。前立腺が大きく腫大すれば尿道が圧迫され排尿障害が出現します。

60歳以上の男性の60%に前立腺肥大症は存在し40%以上は自覚症状を呈すると言われています。無症状で前立腺が大きくなっているだけであれば、とくに治療は必要ありません。排尿困難(尿の勢いが弱い、排尿の途中で尿が途切れるなど)をはじめとする排尿症状、尿をためにくい(頻尿)などの畜尿症状、残尿感(尿をしたのにすっきりしないなど)などの排尿後症状が代表的です。症状が非常に進むと、尿閉(尿が出せない状態)、溢流性尿失禁(腹部が大きく張って、尿がちょろちょと少しずつ流れ出る状態)、腎機能障害などが出現してきます。

<診断に必要な検査>
問診症状の重症度を客観的に判定する表として国際前立腺症状スコア(IPSS)が用いられます。
PSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)採血前立腺が大きくなる病気に肥大症とがんがあります。鑑別のためPSA採血します。PSA値が上昇している場合、前立腺がんの鑑別が必要となります。
超音波検査(エコー)経腹的または経直腸的にエコーにて前立腺体積を計測します。 最近はCTを用いることもあります。

直腸診(前立腺触診):肛門より指を挿入し前立腺を触診します。前立腺の大きさ形態を知る上でも重要な検査です。またがんとの鑑別に有用な検査です。

尿流量測定尿が溜まった状態で器械に向かってオシッコしてもらい尿の勢いを測定します。排尿が終わってすぐにエコーにて残尿を測定します。


治療には薬物療法または外科的療法があります。
【薬物療法】
α-1受容体遮断薬:排尿時は膀胱頸部の開大を助け、尿勢の勢いが増し、蓄尿時は膀胱の過活動を抑制し、日中および夜間の頻尿を軽減させます。副作用としてめまい・ふらつき・立ちくらみなどの低血圧に伴う症状が生じる場合があります。もっとも多く用いられます。
PDE-5阻害薬(タダラフィル)下部尿路組織における血流及び酸素供給が増加し、前立腺肥大症に伴う排尿障害の症状が緩和されます。
5α還元酵素阻害剤(デュタステリド):前立腺を縮小させ、腺腫による閉塞を改善させます。副作用として肝機能障害、性機能障害や女性化乳房などがあります。十分な作用を得るには数か月の内服が必要といわれています。
【外科的治療】
薬物療法で改善が得られない場合、尿閉状態、膀胱結石を併発する場合などに適応となります。
代表的な治療法として下記治療法が挙げられます。
経尿道的前立腺切除術(TUR-P):最も一般的な術式です。内視鏡を尿道より挿入し先端の電気メスで肥大した前立腺を尿道内から切除します。
内視鏡下前立腺核出術:内視鏡を尿道より挿入し、肥大した内腺(腺腫)を外腺から切り離します(核出)。核出に用いられる器具はいくつかありますが、詳細は担当医にお聞きください。核出され膀胱内に移動した腺腫を別の機器で細切・吸引して摘出します。
前立腺レーザー蒸散術内視鏡を尿道より挿入し高出力レーザー光を照射し、肥大した前立腺組織を蒸散させて、尿路の閉塞を取り除く治療法です。現在複数のレーザーが臨床で使用されていますので、詳細は担当医にお聞きになってください。

その他の前立腺肥大症の外科的治療:高齢のかた、全身状態の悪い方などにおいては、上記の手術を行うことができないことがあります。最近、さまざまなタイプの低侵襲治療が臨床で使えるようになっており、いままで治療をあきらめていたかたでも対応できる場合があります。特殊な機器が必要ですので、施設によって可能な手術が異なります。担当医とよく相談されてください。

勃起障害(ED)

勃起障害・勃起不全(ED: Erectile Dysfunction)とは、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないような状態のことを言います。日本では、器質性(進呈的な問題)、心因性(精神的な問題)、混合性(2つの因子が混ざったもの)に分類されます。

リスクファクターとして、加齢、糖尿病、肥満や心血管疾患、喫煙、男性ホルモンの低下、神経疾患や手術、放射線治療の影響、精神科や高血圧の薬などがあげられます。また勃起が起こるためには、心理的な興奮が正常に起こることとペニスを支配する神経と血管(海綿体も含む)が正常であることが前提となります。従って、心理的な要因であるストレス、不安、うつ病なども原因となります。
 

EDの危険因子で排除可能なものがあれば排除し(例:禁煙など)、その後に、薬物療法などを考慮します。薬物療法も含めて、すべての治療について保険が適応されていませんので、自費となります。

参考サイト: 一般社団法人日本性機能学会 ED診療ガイドライン

 

LOH症候群

LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症)ですが、40歳過ぎてからの男性ホルモン低下にともない意欲の低下、筋力低下、体脂肪の増加、骨密度の低下、疲労感などを生じる状態をいいます。男性更年期障害ともいわれます。症状をもとに血中男性ホルモン値を測定することで診断されます。糖尿病などの生活習慣病やうつ病などとの区別が難しいこともありますので、担当医とよく相談してください。治療は、生活習慣の改善を主体とした生活指導に加え、男性ホルモンの投与が行われることがあります。

参考サイト 日本内分泌学会 男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)

陰嚢水腫

精巣のまわりの精巣固有漿膜と呼ばれる袋状の部分に水(体液)がたまって陰嚢がはれているように見える病気です。原因はわかっていません。陰嚢から針を刺してたまった液体をぬくことで一時的に小さくなりますが、残念ながら1か月もするともとに戻ってしまうことが多い印象です。性急に手術を行う必要はありませんが、違和感が強い場合や歩行に邪魔な場合などは、根治のための手術(陰嚢水瘤根治術)を行います。手術自体は比較的安全に行うことのできる手術です。

なお、精巣癌に伴い陰嚢水腫のような状態になっていることもあるため、陰嚢水腫内の精巣は超音波(エコー)検査などで調べておくことが重要です。

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